辻一弘という日本の誇れる世界で活躍する特殊メイクアーティスト!
僕たちは今までこんなすごい人の存在を知らなかった。
ハリウッドの第一線で超有名映画に携わり続けた辻一弘という男の名前を。
「第90回アカデミー賞」辻一弘さんは日本人初の“メーキャップ&ヘアスタイリング賞”を受賞した。
受賞したのは映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』。
主演のゲイリー・オールドマンをウィンストン・チャーチル元イギリス首相にした特殊メイクが認められたのだ。
アカデミー賞のチャーチルの特殊メイクも含めて辻一弘さんの作品一覧をご覧頂きたい。
辻一弘のプロフィール
辻 一弘(つじ かずひろ)
1969年5月25日うまれ
アメリカ合衆国を中心に活動している日本のメイクアップアーティスト、現代美術家。
京都府京都市出身
現在ロサンゼルス在住
ハリウッド映画のメイキャッパーであり、代々木アニメーション学院特殊メイク科の講師
辻一弘さんに直接教えてもらえるなんてすごい・・・
特殊メイクアップや・特殊効果を担当した有名作品
- メン・イン・ブラック
- PLANET OF THE APES/猿の惑星
- ザ・リング2
- 魔法にかけられて
- ベンジャミン・バトン 数奇な人生
- ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
どれも一度は聞いたことがある、見たことがある映画だ。
辻一弘の特殊メイクの世界に入るきっかけとなった師匠ディック・スミス
辻一弘さんはある日とある映画雑誌を手にするのだが、そこで壮絶なものを見つける。
アメリカのメイクアップ・アーティストの大御所ディック・スミスが、
俳優をアメリカ大統領リンカーン本人のように特殊メイクで仕上げていたのだ。
辻一弘はこのディック・スミスの特殊メイクに衝撃を受ける。
そしてやはり辻一弘という人物の性格とも言うべきところだろうか?
メイクの手法、特殊メイクの材料などなど資料や本を片っ端から読み漁って自分の顔をリンカーン大統領にメイクしようとしたのである。
普通こんな事誰も考えつかない。
先程も言ったが、今みたいに簡単に情報が見つかる時代じゃない。
相当足を使っていろいろな書店など行きまくったに違いない。
さらに辻一弘さんの情熱は止まらない。
その後辻一弘さんはメールもない時代にディック・スミスの住所を見つけて手紙を送るのだ。
すでにこの頃から行動力は世界レベルである。
そして凄いのが、手紙の返信で
ディック・スミスに独学が一番と言われたのだ。
この意味がわかるだろうか?
君の今のやり方は間違っていない。自分で勉強して学べばもっと良くなる。
こう捉える事ができる。
そのあとディック・スミスにと辻一弘さんとの手紙のやり取りは続き、
ディック・スミスが日本に来た際にスタッフとして一緒に仕事をすることになる。
独学で世界トップレベルのメイクアップ・アーティストに認められるのも凄いが、
認められるまでの行動力もすごい。
きっかけのディック・スミスの特殊メイクに人生すべてが詰まってるくらいの衝撃があったに違いない。
辻一弘の作品一覧!
辻一弘のアカデミー賞を取ったチャーチルの特殊メイク
スタイリッシュな主演のゲイリー・オールドマンを肥満体型のいかにもなおじさんウィンストン・チャーチルに変えてしまった特殊メイク。
左右の2人が同一人物とはとても思えない。
これが本物のウィンストン・チャーチルだが、ほんと体型はそっくりに特殊メイクしている。
辻一弘の作品のすごさは全く別の人間を作り出せてしまうことにある。
高校時代の木でつくったダンボールのフンコロガシという作品。天才過ぎてビビる。
これはネットでダンボール作品だと思われているがそうではない。
『ダンボールにへばりついているフンコロガシに見えるように木を削った作品だ。』
つまりこれは木であり、ダンボールではないのだ!
母校である龍谷大付属平安高校で「この木から何が作れる?」という課題を出された時の作品である。
与えられたのは30センチ四方、厚さ3センチの朴(ほう)の木。サイズ的にはまな板くらい。
ここで大抵の生徒は当たり前のように皿とか器を作り出すらしいが、辻一弘さんはサンドペーパーと彫刻刀で
まるでダンボールに見えるように木を掘ってそこにフンコロガシという虫を誕生させてしまった。
これが天才でなくて何か。
メン・イン・ブラックのゴキブリ達など辻一弘作品だった!
メン・イン・ブラックの数々登場する宇宙人など辻一弘さんが手がけているようだ。
もちろんCGが使われたりもしているが、人間に化けている時の特殊メイクなどはCG無しの部分もある。
SF映画はCGだけだと思っていたら裏ではアナログによって辻一弘さんが宇宙人をつくっていた。
皆知っている猿の惑星。特殊メイクって知らずに山の中で見たら・・・
辻一弘さんの特殊メイクとして最も有名な映画ではないだろうか?猿の惑星だ。
映画の中で見るとそういう世界だと思ってみているので違和感も何もなかったが、
こうしてみると本当にただの猿人にしか見えない。
おそらく俳優が動物園の檻でこの姿で猿真似をしていたら誰も気付かないだろう。
すばらしい特殊メイクである。
辻一弘のまるで生きているかのようなアブラハム・リンカーン
パッとみリンカーンが近くにいて辻一弘さんが遠くにいる遠近法かと思うほどどちらも人間に見えてしまう。
髪、顔のシワ、表情、全てにおいて人間そのものと言ってもいいほどの作品。
造形物としてこれほどクオリティが高いものはそうそうお目にかかれない。
これが本物のアブラハム・リンカーン。辻一弘さんがつくってる作品のほうがちょっと若いかな?笑
しかし誰だどう見たってそっくりである。というか本人である。
辻一弘さんの師匠であるディック・スミスさん
2014年7月30日に老衰で死去してしまってもうこの世にはいないが、辻一弘さんの師匠である。
辻一弘を世界的メイクアップ・アーティストにした人物ディック・スミスさんもつくっている。
そして完成形がこちら
この完成度はヤバイ。
目の部分だけ大きくピックアップしてもこの凄さがわかるだろう。
もはやこう見ると本物のディック・スミスさんの目としか思えない。
サルバドール・ダリの彫刻造形がリアルすぎてびっくりする。
名前と絵くらいは見たことあるだろう。木に時計が溶けたようにぶら下がってる絵を描いた人物だ。
サルバドール・ダリを白黒写真でしか見た事がなかったので、カラーだとこんな感じなんだ・・・
と現世に呼び起こしてきて貰ったような感覚にすらなる。
辻一弘さんの彫刻や特殊メイク技術はもはやアートを超えて生命を造ってるとすら思う。
アンディ・ウォーホルも現世に呼び起こす辻一弘。
見たことある人もいるのだろうか?アンディ・ウォーホルはマリリンモンローの肖像画を描いた人だ。
辻一弘さんの凄いところは会ったことがある人を前後左右写真をとって作り上げているのではなく、
写真でしか見たことがない人物までそれだけの情報でリアルに立体化してしまうことでもある。
映画界などSFでは見たこと無いものを作り上げるのでこの辻一弘さんの想像力は相当な武器だろう。
辻一弘さんの作品まとめ。幼い頃から持っていた感性が今の作品を造っている。
辻一弘はもともと幼い頃から両親の離婚などによって人の顔色を伺う性格だったらしい。
もともと人見知りなど持って生まれたものはあったかもしれないが、
自己表現があまりうまくなく内気で人の様子をいつも観察していたようだ。
しかしそれは逆にいうと人の表情をトレースする能力はおそらく小さい頃から培われてきたものだろうと思う。
高校時代の木をダンボールのように削ってフンコロガシをへばりつかせた作品の感性だって同じだ。
普通はダンボールの折れ曲がった感じとかをずっと真剣に観察してみようとは思わない。
日常的にものを観察する能力は常人の数倍、数十倍高いだろう。
だからダリも、ウォーホルも、リンカーンもすべてまるで生きているかのようなリアル感がある。
人の表情を見て、顔色を伺い、それがいつしか毛の一本血管すらも表現するレベルにまで到達した。
だからこそ辻一弘さんはメイクアップ・アーティストとして確立しているのかもしれない。
メイクアップ・アーティストとしてアカデミー賞をとったのも納得せざるを得ない。
本当に日本の宝となる人物だ。